奈良公園で子鹿を見かけたら
春から初夏にかけて、奈良公園では鹿の出産シーズンを迎えます。
先日、私も興福寺南円堂の前で、生まれて間もないと思われる子鹿を見かけました。
例年であれば、出産を控えた母鹿は鹿苑で保護され、子鹿が成長するまで見守られていました。そのため、この時期に奈良公園で生まれたばかりの子鹿を見かける機会はそれほど多くありませんでした。
しかし今年は事情が異なります。
奈良の鹿愛護会では、長年続けてきた母鹿の事前保護を行わず、奈良公園内での自然な出産を見守る方針が取られています。
そのため、興福寺や東大寺周辺、あるいは奈良公園の草地などで、母鹿や子鹿の姿を見かける機会が増えるかもしれません。
小さな子鹿はとても愛らしいものです。しかし、この時期だからこそ知っていただきたいことがあります。
子鹿には近づかない、触らない
奈良公園の鹿は天然記念物であり、野生動物です。
普段は人に慣れているように見えても、出産直後の母鹿は非常に神経質になっています。
子鹿に近づいたり、写真を撮ろうとして囲んだりすると、母鹿が子どもを守ろうとして警戒行動を取ることがあります。
また、草むらや木陰で子鹿だけがいるように見えても、母鹿は少し離れた場所から様子を見ていることが少なくありません。
かわいいからと近づくのではなく、少し距離を取って静かに見守る。
それが、奈良の鹿と付き合うための大切な作法です。
子鹿だけがいるように見えても
観光のお客様から、
「子鹿がひとりぼっちでいる」
「母鹿が見当たらない」
という話を聞くことがあります。
しかし実際には、母鹿が近くで警戒しているだけの場合も多くあります。
心配だからといって、子鹿を抱き上げたり、移動させたりすることは避けてください。
人の善意が、結果として母子を引き離してしまうこともあります。
もし、
- 明らかに怪我をしている
- 動けない状態が続いている
- 異常な様子が見られる
など、本当に心配な状況に出会った場合は、ご自身で判断せず、奈良の鹿愛護会へ相談されることをおすすめします。
専門家による判断が、鹿にとっても人にとっても最善の結果につながります。
鹿せんべい以外の食べ物は与えない
奈良公園を訪れる際には、鹿せんべい以外の食べ物を与えないことも大切です。
パンやお菓子、人間の食べ物は鹿の健康を損なう原因になります。
また、ビニール袋や包装紙などを誤って食べてしまう事故もあります。
鹿に食べ物を与える際は鹿せんべいだけにし、ゴミは必ず持ち帰るようにしましょう。
はり新の駐車場にも鹿がやって来ます
奈良の鹿は、奈良公園の中だけで暮らしているわけではありません。
当店の駐車場にも、ときどき鹿がやって来ます。
春には子鹿を連れた母鹿の姿を見ることもあります。
駐車場の生垣から新芽が出る頃になると、柔らかな葉を食べられてしまうこともしばしばです。
奈良に暮らしていると、鹿は観光地の風景であると同時に、日常のすぐそばにいる存在でもあります。
もし当店の駐車場や近くの路地で鹿を見かけても、どうぞ驚かないでください。
特に子鹿を連れた母鹿を見かけた場合は、近づかず、静かに通り過ぎていただければ幸いです。
奈良の鹿について気になることがあれば
私自身、個人的に奈良の鹿愛護会の会員として、鹿の保護活動に関心を持っています。
奈良公園の鹿は、東大寺や興福寺、春日大社とともに、奈良を代表する大切な存在です。
だからこそ、鹿について気になることや心配なことがあれば、インターネットの噂や憶測ではなく、奈良の鹿愛護会の案内を参考にしていただきたいと思います。
正しい知識を持つことが、鹿を守り、奈良らしい風景を未来へ残すことにつながります。
奈良公園散策のあとは、ならまちへ
はり新は、世界遺産・元興寺の西側、上ツ道沿いにあります。
興福寺、奈良公園、春日大社から徒歩圏内のため、散策の途中に立ち寄られるお客様も多くいらっしゃいます。
子鹿の季節の奈良公園を歩かれたあとは、ならまちの静かな町家で、奈良の旬の味をお楽しみください。
鹿も人も、穏やかに過ごせる奈良の初夏を楽しんでいただければ幸いです。

