【奈良公園に秋の気配|雄鹿の角研ぎが始まりました】
9月に入りましたが、奈良はまだまだ暑い日が続いています。
それでも今朝、奈良公園を歩いていると、季節が少し進んだことを感じる光景に出会いました。
雄鹿の「角研ぎ」が始まっています。
少し前まで袋角をつけ、何頭かの雄鹿が一緒に行動する姿をよく見かけましたが、今朝出会った雄鹿は一頭きり。木に角を擦りつけ、黙々と角を研いでいました。
近くでカメラを向けても、ほとんど気にする様子はありません。
こちらをちらりと見ても、またすぐに角研ぎ。
「なんだー、邪魔するな」
そんなことを言われているような気さえしました。
さらに街中まで歩いてみると、すでに角を落とされた鹿にも出会いました。
人間にとってはまだ残暑の9月初め。
けれど鹿たちの姿を見ていると、奈良の季節は確実に動いていることが分かります。
紅葉よりもずっと早く訪れる、奈良公園の小さな秋の知らせ。
奈良公園には、ひと足早く秋の気配が訪れています。
【東大寺二月堂で昔ながらの盆踊り|9月17日「十七夜」】
東大寺二月堂で昔ながらの盆踊り|9月17日「十七夜」
奈良の行事というと、静かで厳かなものを思い浮かべる方が多いかもしれません。
けれども、奈良にも賑やかに「踊る」夜があります。
夏の終わりを彩るバサラ祭り、そして9月17日に東大寺二月堂で行われる「十七夜盆踊り」です。
見ている人も、いつの間にか踊りの輪へ
二月堂の十七夜盆踊りのおもしろいところは、踊る人と見る人の境目があまりないことです。
踊りの輪を眺めていると「おいで、おいで」と誘われ、地元の人も観光客も、外国から訪れた方も一緒になって踊ります。
上手に踊れるかどうかは、それほど大切ではありません。
音頭に合わせて前の人の動きを真似しながら、みんなで輪になって踊る。
今では少し珍しくなった、昔ながらの盆踊りの姿が二月堂には残っています。
なぜ9月17日に盆踊り?
毎月17日は観音菩薩の縁日で、旧暦8月17日は特に「十七夜」と呼ばれてきました。
この日、二月堂では午後6時から十七夜法要が営まれ、堂内には万灯明がともされます。参道の石灯籠にも火が入り、二月堂周辺には願い事や絵などが描かれた多くの万灯籠が並びます。
そして午後6時30分頃から、二月堂下の広場で盆踊りが始まります。
河内音頭や江州音頭が響き、昼間とはまったく違った二月堂の夜になります。
かつて奈良では、この十七夜盆踊りが盆踊りの「踊り納め」とされ、現在でも「関西の踊りじまい」として親しまれています。
現在の十七夜盆踊りは、長く途絶えていたものを平成5年(1993年)に復興したものです。
見に行ったつもりが、踊って帰るかもしれません
お水取りで知られる二月堂は、静かで厳かな印象をお持ちの方も多いでしょう。
その二月堂で、音頭が響き、大勢の人が輪になって踊る。
万灯籠の灯りと二月堂を眺めるだけでも美しい夜ですが、せっかく訪れるなら、少しだけ踊りの輪の近くまで行ってみてはいかがでしょう。
見に行ったつもりが、「おいで、おいで」と誘われて、いつの間にか踊って帰ることになるかもしれません。
奈良の夏の終わりに出会える、ちょっと賑やかな奈良の夜です。
東大寺二月堂「十七夜・十七夜盆踊り」
開催日:2026年9月17日(木)
十七夜法要:午後6時~
十七夜盆踊り:午後6時30分~午後9時頃
場所:東大寺二月堂周辺
※天候などにより予定が変更される場合があります。お出かけ前に東大寺公式サイトで最新情報をご確認ください。
【崇神天皇陵の堀が「世界かんがい施設遺産」に|古墳の水が田畑を潤してきた歴史】
山の辺の道を歩くと、大きな水濠をたたえた崇神天皇陵が見えてきます。
宮内庁が崇神天皇陵に治定している「行燈山古墳」は、全長約242mの大きな前方後円墳。その周囲をめぐる「崇神天皇陵堀」が、2026年8月、世界かんがい施設遺産に認定されることが決まりました。奈良県では初めての認定です。
「古墳の堀が、なぜ“かんがい施設”なのだろう?」
今回のニュースを知って調べてみると、そこには奈良らしい、長い歴史の積み重なりがありました。
幕末、古墳の堀が農業用水に
古墳そのものは古代につくられたものですが、現在の崇神天皇陵堀には幕末の大規模な改修が関係しています。
当時、この地域では農業用水の不足が大きな問題となっていました。
そこで柳本藩は幕府と交渉し、1864~65年に崇神天皇陵を自費で改修。堀を規定より大きく整備する代わりに、そこに蓄えられた水を農業用水として利用する権利を得ました。
これによって、当時約140haもの水田の水不足解消につながったとされています。
天皇陵を守るための堀が、地域の人々の暮らしを支える「水がめ」にもなったのです。
柳本藩は、信長の弟・有楽斎につながる織田家
そして、この柳本藩の歴史も興味深いものです。
柳本藩の藩祖・織田尚長は、織田信長の実弟で、茶人としても知られる織田長益(有楽斎)の五男でした。
つまり柳本藩は、有楽斎から続く織田家です。
戦国時代の織田家というと尾張や安土を思い浮かべますが、その一族が江戸時代を通して大和の柳本を治め、幕末には地域の水不足を解消するために崇神天皇陵の改修に取り組んでいた。
奈良の歴史をたどっていると、思いがけないところで有名な人物や出来事につながることがあります。
160年後の今も続く「藩主祭」
さらに面白いのは、この出来事が昔話だけで終わっていないことです。
柳本には、崇神天皇陵の改修によって農業用水を得られたことへの感謝を伝える「修陵餘潤之碑」が残されています。
そして現在も、田植えが終わる頃には旧柳本藩主の子孫を招いて「藩主祭」が行われています。
幕末に整備された堀の水が田畑を潤し、その恩恵を受けた地域の人々が約160年を経た現在まで歴史を伝えている。
今回の世界かんがい施設遺産への認定では、施設そのものだけでなく、こうした地域による歴史の継承も評価されています。
山の辺の道を歩くとき、「水」にも注目を
崇神天皇陵は、山の辺の道を歩く際にもよく知られた場所です。
水をたたえた大きな堀と、その向こうに横たわる古墳。
何気なく眺めれば美しい陵墓の風景ですが、その水には、
古代の巨大古墳、幕末の柳本藩、農業用水を求めた人々、そして現在まで続く地域の暮らし
という長い時間が重なっています。
奈良では、目の前にある古いものが、ただ「昔の姿を残している」だけとは限りません。
時代ごとに人々が関わり、使い、守りながら、現在の風景になっていることがあります。
今回の「世界かんがい施設遺産」認定を知ってから崇神天皇陵を見ると、これまで古墳を囲む風景の一部として眺めていた堀も、少し違って見えてくるのではないでしょうか。
山の辺の道を歩かれる際には、ぜひ崇神天皇陵の「水」にも注目してみてください。
【奈良ホテル「西館」が9月2日リニューアル|ホテルから歩いて、ならまちへ】
奈良を代表するクラシックホテル「奈良ホテル」。
今年は大規模なリニューアル工事が行われ、長く「新館」と呼ばれてきた建物が「西館」と名前を改め、2026年9月2日(水)にリニューアルオープンします。
明治42年(1909年)創業の奈良ホテルといえば、桃山御殿風檜造りの本館を思い浮かべる方も多いでしょう。
一方、今回生まれ変わる西館は1984年に誕生した建物です。奈良県吉野地方に見られる「吉野建て」の建築様式を取り入れ、緑豊かな中庭を囲むように客室が配置されています。今回の改修では「清澄悠然(せいちょうゆうぜん)」をコンセプトに、本館のクラシックな意匠を現代的に取り入れた客室へと生まれ変わります。
また、日本料理「花菊」も、奈良町を望む鉄板焼「花菊」として新たにオープンするそうです。
奈良ホテルから、歩いてならまちへ
奈良ホテルは奈良公園の一角にありますが、実は「ならまち」を歩くにも、とても面白い場所にあります。
ホテルから大乗院庭園の横を通って坂を下れば、もうそこは、ならまち。
そして、もう一つ面白い道があります。
奈良ホテルのチャペル近くから裏手へ出ると、そこには「不審ケ辻子(ふしがづし)」という、何とも気になる名前の細い道があります。
この辺りには、元興寺にまつわる古い鬼の伝説が残されています。
元興寺に現れた鬼を僧が追いかけ、夜明け近く、この辺りまで来たところで鬼の姿を見失った。それが「不審ケ辻子」という名前の由来になった――そんな伝説です。
もちろん地名の由来には別の説もありますが、何も知らずに通れば何ということのない小さな道にも、昔話が残っているのが奈良の面白いところです。
奈良ホテルのクラシックな空間を楽しみ、その裏手から鬼の伝説が残る細道へ。
そこから古い町並みを歩いて元興寺へ向かえば、いつもの奈良観光とは少し違った「ならまち散策」になるのではないでしょうか。
奈良ホテルにお泊まりの方も、ぜひならまちへ
奈良ホテルから元興寺周辺までは、十分に歩いて楽しめる距離です。
寺社や古い町家だけでなく、細い路地や昔の町名、そこに残された伝説などを少し知ってから歩いてみると、奈良の町はまた違って見えてきます。
当店「はり新」も、元興寺のすぐ近く、古くから奈良を南北に通る上ツ道沿いにございます。
新しく生まれ変わる奈良ホテルを楽しんだあとは、ぜひそのまま歩いて、ならまちへ。
奈良ホテルから不審ケ辻子を抜け、元興寺へ。
そんな小さな奈良散歩もおすすめです。
【正倉院展のチケット情報が発表|9月4日から日時指定券発売】
奈良の秋を代表する「正倉院展」。
今年の第78回正倉院展は、2026年10月24日(土)から11月9日(月)まで、奈良国立博物館で開催されます。
先日、正倉院展公式サイトでチケットや関連イベントの詳細が発表され、日時指定券は9月4日(金)午前10時から販売されることになりました。
今年も観覧には、原則として事前予約制の「日時指定券」が必要です。
第78回正倉院展
会期
2026年10月24日(土)~11月9日(月)
※会期中無休
会場
奈良国立博物館
開館時間
午前8時~午後6時
※金・土・日曜日、祝日は午後8時まで
※入館は閉館の60分前まで
日時指定券発売
2026年9月4日(金)午前10時~
一般料金
2,000円
今年は、聖武天皇ゆかりの「国家珍宝帳」に記載された漆胡瓶(しっこへい)をはじめ、イラン周辺で作られたガラス器白瑠璃瓶(はくるりのへい)、象牙製の碁石「紅牙撥鏤碁子(こうげばちるのきし)」など、60件の宝物が出陳されます。そのうち11件は初出陳です。
混雑を避けるなら、早朝や夕方も
公式サイトでは、午前中から午後3時頃までは、入場までの待ち時間や会場内の混雑が予想されるとして、早朝や夕方の利用も案内されています。
また今年も、夕方の時間帯には「レイト割」が設定されています。
一般の場合、通常2,000円のところ1,500円。
月~木曜日は午後4時以降、金・土・日曜日・祝日は午後5時以降の日時指定券が対象です。
正倉院展というと「朝から奈良博へ」という印象がありますが、今年は少し予定を変えて、
午前中にならまちを散策し、昼食を楽しんでから奈良公園へ。夕方から正倉院展へ――。
そんな奈良の一日も良いかもしれません。
正倉院展と一緒に、ならまちへ
奈良国立博物館から南へ歩けば、猿沢池、興福寺、そして古い町並みが残る「ならまち」へと続きます。
当店「はり新」は、世界遺産・元興寺の近く、江戸時代の両替商の面影を残す築約250年の町家で、奈良の食材を使った料理をご用意しております。
正倉院展をご覧になる日が決まったら、ぜひ奈良博だけでなく、奈良の街を歩く時間も予定に入れてみてください。
秋の奈良で、皆様のお越しをお待ちしております。
チケットの購入方法、各時間帯の空き状況、関連イベントなど、最新情報は正倉院展公式サイトをご確認ください。


