新薬師寺は、奈良公園の賑わいから少し離れた、高畑町の静かな寺院です。
南門から続く道には、今もどこか昔の奈良の空気が残っています。
掲載したスケッチ画は、かつて父が描いた新薬師寺参道の風景です。
その頃と比べて奈良の景色は大きく変わったわけではありません。
しかし、歩く人の速度や、町の静けさは、少しずつ時代とともに変わっているのかもしれません。
新薬師寺を訪れると、堂内を何度も回ってしまいます。
御本尊の薬師如来坐像を囲むように並ぶ十二神将像。
それぞれ表情も姿勢も異なり、見比べながら自然と周囲を歩いてしまいます。
自分の干支の神将の前で立ち止まる方も多いでしょう。
数年前に照明がLEDへ変わってからは、像の陰影や表情も以前より見やすくなり、静かな堂内でゆっくり拝観できるようになりました。
私自身は、十二神将の中では婆娑羅大将の姿に惹かれます。
均整の取れた姿に、不思議な力強さがあります。
しかし、本当に迫力を感じるのは、やはり御本尊の薬師如来坐像です。
他寺院の薬師如来像と比べても、どこか重厚で、堂内へ入った瞬間に空気が変わるような存在感があります。
奈良公園周辺の賑わいとは少し違う、静かな奈良。
新薬師寺には、そんな時間があります。
そして、その余韻のまま、ならまちへ。
当店までは徒歩で30分ほど。
ゆるやかな坂道もありますので、奈良観光はぜひ時間に余裕を持ってお楽しみください。
古い町並みを歩き、庭を眺めながら昼食を取る。
そんな奈良の過ごし方も、悪くないと思っています。
