大安寺の竹供養 ― 竹にも感謝を捧げる奈良の行事
奈良市の大安寺では、毎年6月23日に「竹供養」が営まれます。
茶筅や茶杓、花籠、竹細工など、人々の暮らしを支えてきた竹に感謝を捧げる行事です。
日本には古くから、長く使った道具に感謝する文化があります。針供養や筆供養、人形供養もその一つです。竹供養もまた、役目を終えた竹に感謝を捧げ、その労をねぎらう行事として受け継がれてきました。
竹は成長が早く、しなやかで丈夫なことから、古くより日本人の暮らしの中で幅広く利用されてきました。茶の湯の道具や竹細工だけでなく、庭や建築、農作業の道具などにも欠かせない存在でした。
中国には「竹酔日(ちくすいじつ)」という言葉があります。旧暦5月13日は竹が酒に酔ったように勢いよく成長すると考えられ、この日に植えた竹はよく育つと伝えられてきました。真偽はともかく、竹を単なる植物ではなく、人と同じように命ある存在として見つめていたことがうかがえます。
大安寺の竹供養もまた、長年人々の暮らしを支えてくれた竹への感謝の心を伝える行事と言えるでしょう。
当店の庭にも古い井戸が残されており、その周りには現在も竹が使われています。普段は何気なく目にしている竹ですが、改めて考えると、私たちの暮らしを支える身近な素材であることに気付かされます。
奈良時代から続く大安寺
大安寺は南都七大寺の一つとして知られています。
その起源は飛鳥時代の百済大寺に遡り、高市大寺、大官大寺を経て平城京の大安寺へと受け継がれました。
奈良時代には国家を支える学問と文化の中心の一つでもあり、多くの僧侶が集い、仏教を通じて国家の安泰と人々の幸せを願いました。
現在も大安寺では竹供養をはじめ、さまざまな行事を通じて、人と暮らしとのつながりを伝えています。
大安寺からならまちへ
大安寺の参拝後は、ぜひ奈良町の散策もお楽しみください。
ならまちには世界遺産・元興寺をはじめ、古い町家や石畳、井戸など、奈良の暮らしの面影が今も残されています。
華やかな観光名所だけでなく、人々の暮らしの中に息づく歴史や文化に触れられるのも奈良の魅力の一つです。
竹供養をきっかけに、奈良に受け継がれてきた「物への感謝の心」に思いを巡らせていただければ幸いです。

