【奈良大文字送り火|高円山に「大」が灯る、奈良の夏】

奈良大文字送り火

高円山に「大」が灯る、奈良の夏

8月15日の夜。

奈良の町から東の山を眺めると、高円山の山肌に炎で描かれた大きな「大」の文字が浮かび上がります。

「奈良大文字送り火」です。

奈良の夏を彩る風物詩のひとつで、毎年この日を楽しみにしている方も少なくありません。

奈良公園を散策したあとに眺めたり、ならまちから高円山を見上げたり。

昼間とは少し違う奈良の表情を楽しめる、夏の一夜です。

そして、この美しい送り火には、奈良の人々が大切にしてきた「祈り」が込められています。

8月15日に灯される「大」の文字

奈良大文字送り火が始まったのは、昭和35年(1960年)。

後に奈良市長となる鍵田忠三郎氏らが、戦争で亡くなられた方々を慰霊し、平和を祈るために始めたものです。

現在では、戦没者だけでなく、亡くなられたすべての方々への慰霊と、世界平和への願いを込めた送り火として受け継がれています。

点火に先立って、春日大社境内の飛火野では「神仏合同慰霊祭」が行われます。

神道と仏教がともに祈りを捧げ、その後、高円山に「大」の文字が灯ります。

奈良大文字送り火には花火がありません。

華やかな花火大会とはまた違い、古都の夜に炎の文字が静かに浮かび上がるところに、この行事ならではの趣があります。

「送り火を見る時は、手を合わせるものですよ」

以前、奈良のご年配の方から、こんなことを教えていただきました。

「大文字送り火を見る時は、手を合わせるものですよ。」

なるほど、これは「送り火」なのだと、その時あらためて思いました。

もちろん、奈良を訪れた方には、夏の観光のひとつとして大文字送り火を楽しんでいただきたいと思います。

写真を撮るのもよし、少し足を止めて眺めるのもよし。

ただ、その「大」の文字に、亡くなられた方々への想いと平和への願いが込められていることを知っていると、奈良の夜景が少し違って見えるかもしれません。

さて、「大」はどんな形に見えるでしょう

奈良大文字送り火を見る時に、ぜひ注目していただきたいことがあります。

実は、見る場所によって「大」の文字の形がずいぶん違って見えるのです。

高円山を見る角度が変われば、「大」の線の長さや角度も違って見えます。

奈良公園から見る「大」。

ならまちから見る「大」。

少し離れた場所から見る「大」。

それぞれに違った表情があります。

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はり新近くから見た奈良大文字送り火。ならまちから眺めると、「大」はこんな形に見えます。

この写真は、当店の近くから撮影したものです。

屋根や電線の向こうに、炎の「大」が浮かんでいます。

奈良公園から見る景色とは少し違いますが、これもまた、ならまちから眺める夏の風景です。

8月15日に奈良を歩かれるなら、

「ここからは、どんな『大』に見えるだろう?」

そんなことを考えながら、自分だけの眺めを探してみるのも楽しいと思います。

毎年、はり新から高円山へ

当店にも、大文字送り火と小さなご縁があります。

毎年8月15日には、奈良市遺族会の皆様が当店で少し早めの夕食を召し上がります。

そして食事を終えると、送り火の点火に携わるため、高円山へ向かわれます。

皆様をお見送りして、しばらくすると高円山に「大」が灯る。

毎年繰り返されてきた、はり新の8月15日の風景です。

奈良の町では、こうして多くの方々の手によって、夏の伝統が受け継がれています。

夏の奈良の思い出に

8月15日に奈良へお越しでしたら、昼間は奈良公園や寺社、ならまちをゆっくり巡り、夜にはぜひ高円山の方角を眺めてみてください。

暗くなった山肌に、ぽつりぽつりと炎が灯り、やがて大きな「大」の文字が姿を現します。

賑やかな花火とは違う、奈良らしい夏の夜です。

その由来を知って眺めるのもよし。

亡くなった方を思い出して、そっと手を合わせるのもよし。

そして何より、古都の夜に一年に一度だけ現れる炎の「大」を、奈良の夏の思い出として楽しんでいただければと思います。

 

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